デイサービス開業で失敗する原因

デイサービスの開業を検討する中で、「失敗しないか不安」と悩む方も多いのではないでしょうか。

デイサービスの倒産は増加傾向にある?

高齢化社会を背景に介護ニーズは高まっていますが、実はデイサービスを含む介護事業者の倒産件数は増加傾向にあります。株式会社東京商工リサーチの調査によると、2024年の介護事業者の倒産は過去最多の172件でした。

また、WAM NETの調査結果によると、通所介護の赤字事業所の割合は49.6%に上ります。利用率の低下やコスト上昇により、約半数が赤字経営という厳しい実態があることを理解しておきましょう。

参照元:2024年「介護事業者」倒産が過去最多の172件 「訪問介護」が急増、小規模事業者の淘汰加速(https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1200835_1527.html)

参照元:2022 年度 通所介護の経営状況について(https://www.wam.go.jp/hp/wp-content/uploads/240228_No.012.pdf)

デイサービス開業で失敗する5つの原因

デイサービスの開業において、事業が失敗しやすくなる原因として以下の5つが挙げられます。

  • 条件に合う物件が見つからない
  • 資金計画の見通しが甘い
  • 人員基準を満たせない・スタッフが定着しない
  • ライバルが多く利用者を確保できない
  • 経営者が現場に出すぎ・スタッフの言いなりになる

それぞれの失敗パターンについて、詳しく解説していきます。

①条件に合う物件が見つからない

デイサービスの開業には、食堂や機能訓練室などの設備基準を満たす必要があります。さらに、都市計画法や建築基準法といった関連法規にも適合していなければなりません。

これらの厳しい条件に合う物件が見つからず、開業が遅れたり、最悪の場合は断念したりするケースが少なくありません。

②資金計画の見通しが甘い

デイサービスの開業に必要な資金は、一般的な相場で約1,500万円と言われています。開業直後は利用者が少なく、黒字化までに時間がかかるのが通常です。

さらに、介護報酬の支払いは約2カ月遅れとなります。そのため、想定以上の支出や運転資金の不足など、資金計画の甘さが倒産に直結してしまいます。

③人員基準を満たせない・スタッフが定着しない

介護業界は有効求人倍率が4.02(2023年)と非常に高く、人材の採用が困難です。事業開始に必要な人員基準を満たせないと、そもそも開業すらできません。

また、労働条件の問題からスタッフの離職が続くと、安定したサービス提供ができなくなる大きなリスクを抱えることになります。

参照元:第1章 高齢化の状況(第2節 2)(https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2024/html/zenbun/s1_2_2.html)

④ライバルが多く利用者を確保できない

デイサービスは新規参入が比較的しやすいため、多くの事業者が存在し競争が激化しています。そのため、ただ開業しただけでは利用者は集まりません。

他施設との差別化ができず、安定的に利用者を確保できないと稼働率が低下し、事業が失敗する原因となります。

⑤経営者が現場に出すぎ・スタッフの言いなりになる

経営者が現場に出すぎると、本来行うべき管理業務や経営判断が疎かになってしまいます。また、知識がないからと経験のあるスタッフに仕事を丸投げするのも危険です。

無理な要求の言いなりになっていると組織が崩壊し、結果的に優秀な人材まで辞めてしまう悪循環に陥ります。

デイサービス開業で失敗しないための対策

前述の失敗原因を踏まえ、事業を成功に導くためには事前の準備が不可欠です。具体的な対策として以下のポイントを押さえましょう。

  • 事前の綿密な資金計画と早めの物件確保
  • 多様な媒体での採用活動と働きやすい環境づくり
  • 自社の強みをPRした地道な営業活動

①事前の綿密な資金計画と早めの物件確保

設備基準や関連法規に適合する物件は、早めに探し始めて確保することが大切です。ただし、早すぎると家賃が発生するため注意が必要です。

また、介護報酬の入金遅れや突発的な支出に備え、数カ月分の運転資金や予備費を含めた綿密な資金計画を立てましょう。

②多様な媒体での採用活動と働きやすい環境づくり

ハローワークだけでなく、求人情報サイトや人材紹介など多様な採用チャネルを活用して人材を確保しましょう。

同時に、経営者が明確な法人指針を示し、スタッフの頑張りを正当に評価することが重要です。働きがいのある環境づくりが、スタッフの定着率を高めます。

③自社の強みをPRした地道な営業活動

開業直後は、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターへ自ら営業に出向くことが不可欠です。待っているだけでは利用者は増えません。

自社の強みや魅力を適切にPRし、他施設との違いを理解してもらうための地道な営業活動を継続しましょう。

失敗リスクを抑える「フランチャイズ(FC)」という選択肢

未経験からの参入や、失敗リスクをできるだけ減らしたい場合、フランチャイズ(FC)への加盟も有力な選択肢となります。メリットとデメリットの双方を理解して検討しましょう。

フランチャイズ加盟のメリット

FC本部の持つ運営ノウハウやマニュアルを活用できるため、効率的に開業準備が進められます。資金計画や人材教育のサポートを受けられる点も大きな魅力です。

また、複雑な法令ルールに関する運営指導の対策や補助金申請の支援もあるため、法令違反のリスクを回避しやすくなります。

フランチャイズの注意点・デメリット

一方で、FC本部の方針に従う必要があるため、独自のサービスを展開するといった経営の自由度は低い点に注意が必要です。

また、加盟金やロイヤリティなどのコスト負担が発生するほか、本部のブランドイメージが低下した際にその影響を直接受けてしまうリスクもあります。

まとめ

デイサービスの開業は需要が高い反面、物件確保や資金、人材、集客といった面で失敗リスクが伴います。これらの課題に対して事前に対策を講じることが成功の鍵です。

不安がある場合は、フランチャイズ加盟によるサポートも検討しながら、万全の準備を進めて安定した施設運営を目指しましょう。