地域密着型通所介護と通所介護の違いとは?

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地域密着型通所介護と通所介護は、どちらも利用者が施設へ通い、食事や入浴、機能訓練などのサービスを日帰りで受けるデイサービスです。一方、利用定員や利用できる地域、指定・運営の仕組みなどには違いがあります。

これからデイサービス事業へ参入する場合は、制度上の違いだけでなく、自社が想定する利用者数や商圏、物件、人材、資金などを踏まえて事業形態を選ぶことが重要です。本記事では、地域密着型通所介護と通所介護の違いと、それぞれどのようなオーナーに向いているかを解説します。

地域密着型通所介護と通所介護の違い

地域密着型通所介護と通所介護は、提供する基本的なサービスには共通点がありますが、利用定員やサービスを利用できる地域などが異なります。主な違いを整理すると以下のとおりです。

比較項目 地域密着型通所介護 通所介護
利用定員 19人未満 19人以上
主なサービス 食事・入浴・機能訓練など 食事・入浴・機能訓練など
利用できる地域 原則として事業所所在地の市区町村の住民 地域密着型サービスのような居住地域による原則的な制限はない
指定・運営 市区町村との関わりが強い 都道府県等が指定権者となる
事業規模 小規模 中~大規模になりやすい
商圏 特定地域を中心に考える 比較的広い範囲を想定しやすい
参照元:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group25.html)

利用定員が違う

地域密着型通所介護と通所介護の大きな違いは利用定員です。地域密着型通所介護は利用定員が19人未満、つまり18人以下の事業所が対象となります。一方、通所介護は利用定員19人以上の事業所です。

定員の違いは、単に受け入れられる利用者数が変わるだけではありません。必要となる物件の広さや職員配置、送迎体制、利用者獲得数、収支モデルにも関係するため、開業時には想定する事業規模から検討する必要があります。

利用できる地域が違う

地域密着型通所介護は「地域密着型サービス」に位置づけられており、原則として事業所が所在する市区町村の住民が利用します。そのため、地域内の高齢者を中心にサービスを提供することを前提とした事業です。

一方、通所介護には地域密着型サービスのような居住市区町村による原則的な利用制限はありません。どの範囲から利用者を集めたいのかによって、適した事業形態が変わるため、送迎可能範囲も含めて商圏を設定しましょう。

指定・運営の仕組みが違う

地域密着型通所介護は、市区町村が指定・指導監督に関わる地域密着型サービスです。また、利用者や家族、地域住民、市区町村職員、地域包括支援センター職員などが参加する運営推進会議を設置する必要があります。

運営推進会議では、おおむね6か月に1回以上、事業所の活動状況を報告し、評価や要望、助言を受けます。地域との連携を事業運営の中に組み込むことが、地域密着型通所介護の特徴の一つです。

参照元:厚生労働省「指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準」(https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=82aa7858&dataType=0)

想定する商圏や利用者獲得の考え方が違う

地域密着型通所介護では原則として事業所所在地の市区町村の住民が利用するため、利用者獲得も特定地域を中心に考えます。地域内の居宅介護支援事業所や地域包括支援センターなどとの関係づくりが重要になります。

通所介護では、送迎時間や車両、人員などを踏まえながら、比較的広い範囲を商圏として考えることができます。どちらの場合も人口だけで判断せず、要介護者数や競合施設、ケアマネジャーとの接点まで含めて商圏を調査しましょう。

必要になる施設規模や経営モデルが違う

18人以下を対象とする地域密着型通所介護と、19人以上を対象とする通所介護では、想定する施設規模にも違いが生じます。定員を増やすほど広いスペースや利用者に対応する人員、送迎車両などが必要になる可能性があります。

ただし、「小規模なら低コスト」「定員が多ければ高収益」と単純には判断できません。定員ではなく、実際の稼働率や人件費、家賃、送迎コストまで含めて収支を比較することが大切です。

地域密着型通所介護事業に向いているオーナー

地域密着型通所介護は、18人以下の比較的小規模なデイサービスとして、地域とのつながりを重視しながら運営する事業です。特に次のような方は、地域密着型通所介護を選択肢として検討しやすいでしょう。

小規模なデイサービスを運営したい

大人数を受け入れる施設ではなく、比較的少人数の利用者を対象としたデイサービスを運営したいオーナーは、地域密着型通所介護との相性を検討できます。利用者一人ひとりの状態を把握しやすい規模でサービスを設計できる点が特徴です。

ただし、小規模であっても介護保険事業として人員・設備・運営基準への対応は必要です。「小さい施設だから開業しやすい」と考えるのではなく、必要な職員と利用者数を確保できるかを確認してください。

特定地域に絞って利用者を獲得したい

特定の市区町村に腰を据え、地域内で利用者を獲得していきたいオーナーにも地域密着型通所介護は検討しやすい事業形態です。広いエリアから利用者を集めるのではなく、一定の地域内で認知を高めていく運営になります。

そのため、地域の居宅介護支援事業所や地域包括支援センター、医療機関などとの継続的な関係づくりが欠かせません。狭い商圏の中で「どのような利用者を支援できる施設か」を明確にすることが重要です。

小規模な物件を活用して参入したい

大規模な介護施設を新たに建設するのではなく、保有している物件や地域内で確保できる比較的小規模な物件を活用して参入したい場合にも、地域密着型通所介護を検討する余地があります。

ただし、広さだけで物件を判断することはできません。食堂・機能訓練室などの設備基準に加え、建築や消防、バリアフリー、送迎動線なども確認し、契約や工事を行う前に事業所として使用できるか確認しましょう。

地域とのつながりを活かしたサービスを提供したい

すでに地域内で店舗や事業所を運営し、住民や企業、自治体などとの接点を持っているオーナーは、その地域基盤を介護事業へ生かせる可能性があります。地域の特性や高齢者の生活を理解していることは、サービス設計にも役立ちます。

地域密着型通所介護では、地域住民との交流や地域活動への参加なども意識した運営が求められます。既存事業で築いた地域との関係を、介護サービスの信頼につなげられるかという視点で検討してみましょう。

通所介護事業に向いているオーナー

通所介護は19人以上を受け入れる事業所であり、地域密着型通所介護より大きな事業規模を想定する場合の選択肢となります。次のような事業計画を持つオーナーは、通所介護を検討しやすいでしょう。

19人以上を受け入れる事業規模を想定している

1日の利用定員を19人以上とし、一定規模のデイサービスを運営したい場合は、通所介護が選択肢となります。想定する利用者数が多ければ、それに合わせて物件や人材、送迎体制なども準備する必要があります。

重要なのは、定員を設定するだけでなく、実際にその人数の利用者を継続的に獲得できるかを確認することです。定員数と想定稼働率の両方から売上計画を作成し、必要な固定費を賄えるかを検討しましょう。

より広い商圏から利用者を獲得したい

特定の市区町村だけに利用者を限定せず、周辺地域も含めた商圏を設定したいオーナーは、通所介護を検討しやすいでしょう。立地条件によっては複数の地域の居宅介護支援事業所などへ営業することも考えられます。

一方、商圏を広げるほど送迎にかかる時間や車両、人員の負担が増える可能性があります。利用者を集められる範囲と、効率的に送迎できる範囲は同じとは限らないため、運営コストを踏まえた商圏設定が必要です。

人材や物件へ一定規模の投資ができる

一定数以上の利用者を受け入れるには、サービス提供に必要なスペースや職員を確保しなければなりません。そのため、物件取得・改修、人材採用、送迎車両、備品などへ一定規模の投資ができるオーナーに向いています。

開業資金だけでなく、利用者が十分に集まるまでの運転資金も必要です。開業直後から高い稼働率になる前提を置かず、利用者が段階的に増える収支計画を作り、資金余力を確認しておきましょう。

事業規模の拡大を視野に入れている

ある程度の規模でデイサービスを運営し、将来的に事業拡大を目指したいオーナーにも通所介護は選択肢となります。一施設の定員を一定以上確保するほか、運営ノウハウを蓄積して複数拠点への展開を検討する方法もあります。

ただし、規模を大きくすれば管理負担も増えます。採用や教育、サービス品質、収支管理などをオーナー個人だけに依存させず、拡大しても同じ品質で運営できる仕組みをつくることが重要です。

参照元:公益財団法人長寿科学振興財団「健康長寿ネット」(https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/chiiki-service/chiikimitchakugatatsushokaigo.html)

地域密着型通所介護と通所介護はどちらを選ぶべき?

地域密着型通所介護と通所介護のどちらが適しているかは、定員だけで決めることはできません。開業を検討する際は、利用者数、商圏、人材、物件、資金などの条件を組み合わせて判断しましょう。

想定する利用定員から選ぶ

まず検討したいのが、1日に何人の利用者を受け入れる事業を目指すのかです。18人以下で運営するのであれば地域密着型通所介護、19人以上を想定するのであれば通所介護という区分が基本になります。

ただし、最初から希望する定員を決めるのではなく、地域で実際に獲得できる利用者数から逆算することも大切です。市場規模とかけ離れた定員を設定すると、稼働率が上がらず収支を圧迫する可能性があります。

商圏と地域ニーズから選ぶ

出店候補地域では、高齢者人口だけでなく、要支援・要介護認定者の状況や既存デイサービスの定員、特徴などを調べます。さらに、居宅介護支援事業所の分布や送迎しやすい道路環境なども確認しましょう。

地域内に競合が多くても、自社が提供したいサービスへの需要があれば参入余地がある場合があります。需要・競合・送迎範囲・自社サービスの特徴を組み合わせて出店地域を判断することが重要です。

採用できる人材と運営体制から選ぶ

デイサービスでは、生活相談員、看護職員、介護職員、機能訓練指導員など、基準に沿った職員配置が必要になります。事業規模を検討するときは、必要人数だけでなく、地域で必要な人材を実際に採用できるか確認してください。

定員を増やしても、人員を継続して確保できなければ安定した運営は難しくなります。「何人の施設を作りたいか」ではなく「何人の施設なら継続して運営できるか」という視点で事業規模を決めましょう。

初期投資と収支計画から選ぶ

地域密着型通所介護と通所介護のどちらを選ぶ場合も、物件取得費、改修費、採用費、車両費、備品費などの初期投資が発生します。さらに開業後は、利用者数に関係なく家賃や給与などの固定費が継続します。

収支計画では、定員いっぱいの利用者が開業直後から集まる想定を避けることが大切です。慎重・標準・順調など複数の稼働率で資金残高を確認し、事業を継続できる資金計画を立ててください。

地域密着型通所介護と通所介護に関するよくある質問

地域密着型通所介護もデイサービスですか?

地域密着型通所介護もデイサービスの一つです。利用者が事業所へ通い、食事や入浴などの日常生活上の支援や機能訓練などを日帰りで受けるという基本的なサービス内容は、通所介護と共通しています。

大きく異なるのは利用定員や地域との関係です。地域密着型通所介護は19人未満の小規模な事業所を対象とする地域密着型サービスであり、地域との連携を重視した運営が求められます。

地域密着型通所介護から通所介護へ変更できますか?

利用定員を19人以上へ変更する場合は、地域密着型通所介護のまま単純に定員だけを増やすという考え方ではなく、通所介護として必要な手続きを確認する必要があります。人員や設備についても、新しい事業規模に応じた基準への対応が必要です。

手続きや申請時期、必要書類などは指定権者によって確認する事項があります。定員変更や増床を決める前に、所在地を管轄する指定権者へ相談し、必要な準備とスケジュールを整理しましょう。

地域密着型通所介護は市外の利用者を受け入れられますか?

地域密着型サービスは、原則として利用者が住んでいる市区町村内の事業所を利用する仕組みです。そのため、地域密着型通所介護では、事業所所在地とは別の市区町村に住んでいる人を自由に受け入れられるわけではありません。

例外的な取り扱いが可能となる場合もありますが、事業者側だけで判断することはできません。市区町村外の利用者を想定する場合は、関係する自治体へ事前に確認し、対象地域を踏まえて利用者獲得計画を立ててください。

参照元:厚生労働省「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group25.html)

地域密着型通所介護と通所介護では介護報酬も違いますか?

地域密着型通所介護と通所介護は、介護報酬上もそれぞれ別のサービス区分として設定されています。実際の報酬は、要介護度やサービス提供時間、各種加算、地域区分などによって変わるため、一律の金額だけでは比較できません。

開業時の収支計画では、利用者一人当たりの売上を大まかに置くだけでは不十分です。自社が想定する利用者構成・提供時間・加算・稼働率をもとに収入を試算し、人件費などと合わせて確認しましょう。

CHECK
自社に合った
デイサービスFCを選ぶ

地域密着型通所介護と通所介護のどちらを検討する場合も、定員だけでなく、地域ニーズや物件、人材、資金、利用者獲得の方法まで含めて事業モデルを考える必要があります。

デイサービスには、機能訓練型、娯楽型、小規模民家型などさまざまな事業モデルがあります。当メディアでは、デイサービスFC各社の特徴や本部支援、開業資金などを調査し、タイプ別に紹介しています。自社の経営資源や地域ニーズに合った事業モデルを比較してみてください。

事業規模と商圏に合ったデイサービスを選ぼう

地域密着型通所介護と通所介護は、どちらも高齢者の在宅生活や家族の介護負担を支えるデイサービスですが、利用定員や利用対象となる地域、指定・運営などに違いがあります。

地域密着型通所介護は、18人以下の小規模な施設で、特定地域とのつながりを重視して運営したい場合に検討しやすい事業形態です。一方、19人以上を受け入れ、比較的広い商圏や一定以上の事業規模を想定する場合は、通所介護が選択肢となります。

ただし、「小規模だから地域密着型」「大きく稼ぎたいから通所介護」と定員だけで決めるのは避けましょう。地域の需要、競合、採用可能な人材、物件、送迎範囲、初期投資、開業後の稼働率などを整理し、自社が継続して運営できる事業モデルを選ぶことが重要です。

※本記事は2026年8月7日時点で確認できる情報をもとに作成しています。指定申請、人員・設備・運営基準、介護報酬などの取り扱いは、法改正や自治体によって変更・相違が生じる場合があります。開業や定員変更を行う際は、事業所所在地の指定権者が公開する最新情報をご確認ください。